インド太平洋地域における水中フォトトランセクト法を用いたサンゴ状態のマルチラベル分類に適した深層学習

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研究の概要

サンゴ礁生態系は人間活動や気候変動の脅威に直面しているため,世界中でサンゴ礁の保護プログラムが実施されています.サンゴ礁の健康状態のモニタリングは,保護活動を指導するための参考になります.しかし,現在の労力を要する方法では,未分類の画像が蓄積し,自動分類の必要性が強調されています.正確なラベルと最新のアルゴリズムやデータセットを同時に活用した研究は少ないです.本研究は,インド太平洋地域における一般的なサンゴ礁の状態とそれに関連するストレス要因を表すデータセットを作成することを目的としました.同時に,既存の分類アルゴリズムを評価し,サンゴ礁の状態を自動的に検出し,関連する生態情報を抽出する新しいマルチラベル分類法を提案しました.現地調査に基づき,サンゴの様々な健康状態やストレス要因に係る情報を含む,20,000枚以上の高解像度のサンゴ画像データセットを構築しました.このデータセットを用いて,7つの代表的な深層学習アーキテクチャがテストし,その性能はF1メトリックと一致率を用いて定量的に評価しました.その成果に基づき,アンサンブル学習アプローチを利用した新しい手法を提案しました.提案した手法は,サンゴ礁の状態を「健康」,「損傷」,「へい死」,「サンゴ礫」として正確に分類し,競合,疾病,捕食,物理的損傷等のストレス要因も特定しました.この手法は,サンゴ画像アーカイブの発展を支援し,保護活動を支援,サンゴ礁管理者や保護活動家の意思決定に貢献します。提案されたアンサンブル学習アプローチは,このデータセット上で他の手法を上回り,最先端(SOTA)の手法として高い性能を示しました.今後は,その一般化能力と精度を向上させ,世界規模でのサンゴ礁保護活動の支援に活用されることを期待しています。


地元保全チームのボランティア2名が写真横断調査を実施している様子


オニヒトデが捕食している損傷したミドリイシサンゴのコロニーの例


死んだ部分が藻類で覆われた損傷したアザミサンゴのコロニーの例

掲載論文

Shao, X., Chen, H., Magson, K., Wang, J., Song, J., Chen, J., Sasaki, J.: Deep learning for multilabel classification of coral reef conditions in the Indo-Pacific using underwater photo transect method. Aquatic Conservation: Marine and Freshwater Ecosystems, 34(9), e4241, 2024. DOI

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